
【市場動向】垂直型太陽光発電が拓く新たな可能性 ― Hi-MO 9の実装事例から見る市場動向 ―
カーボンニュートラルに向けた取り組みが進む中、日本の太陽光発電市場は量的拡大から質的最適化へと確実に移行しています。導入容量が積み上がる一方で、平地制約や用途の多様化を背景に、「どこに、どのように設置するか」がこれまで以上に重視されるようになっています。
こうした市場環境の中で、近年あらためて注目されているのが垂直型太陽光発電という設置アプローチです。
日本市場と垂直設置の可能性
日本は、山地が多く可利用な平地が限られているにもかかわらず、平地面積あたりの太陽光発電導入量は世界でもトップクラスにあります。これは、日本の太陽光市場がすでに「余地のある土地に設置する段階」を超え、既存空間をどう高度に活用するかというフェーズに入っていることを意味します。
その結果、太陽光発電に求められる価値も、単なる発電量の最大化から、
- 空間との親和性
- 周辺用途との共存
- 設置条件に応じた最適化
といった複合的な視点へと広がっています。
日経BPが紹介した「Hi-MO 9」垂直設置の実例
こうした流れを象徴する事例として、日経BP の専門メディアでは、LONGiの高効率モジュール「Hi-MO 9」を用いた垂直型太陽光発電の取り組みが紹介されています。
日経BPによる紹介事例では、垂直設置型太陽光発電について、土地や地上部空間の専有面積を抑えられる点が評価されています。
農地においても、農作物の収量低下や農業機械による作業への影響を抑制しやすく、既存用途と共存しやすい設計であるとされています。
また、パネル表面が雪で覆われにくい構造であることから、積雪に強く、豪雪地帯でも導入しやすい点が挙げられています。
特に積雪時には、地面からの反射光を活用でき、発電量の増加が期待できる点も特長として紹介されています。
▶ 日経BP 記事:LONGi Hi-MO 9を用いた垂直型太陽光発電の事例紹介
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05419/?ST=msb (出典:日経BP)
Hi-MO 9 の特長である BC(Back Contact)技術による高効率設計と、垂直設置というレイアウトを組み合わせることで、限られた空間条件下でも太陽光発電の導入可能性を広げる試みとして位置づけられています。
市場トレンドとしての位置づけ
垂直型太陽光発電は、すべての案件に適した万能解ではありません。しかし、
- 平地制約が大きい日本市場
- 既存用途との共存が前提となる設置環境
- 発電量だけでなく設置適合性が問われる局面
においては、現実的な選択肢の一つとして検討される段階に入っています。
まとめ
日本はすでに、世界でも有数の高密度太陽光市場です。だからこそ今後は、「どれだけ増やすか」ではなく、「どのように組み込むか」がより重要になります。
日経BP が紹介した Hi-MO 9 の垂直設置事例は、その問いに対する一つの実践的なアプローチと言えるでしょう。垂直型太陽光発電と高効率モジュールの組み合わせは、今後の日本市場において、用途や条件に応じた選択肢を広げていく存在として注目されます。

