太陽光発電の環境価値を高める「資源循環」——LONGiのUL 2799プラチナ認証から考える、持続可能なものづくり

はじめに:太陽光発電の普及とともに考えたい、ものづくりの環境負荷

脱炭素社会の実現に向け、太陽光発電は世界各地で導入が進む重要な再生可能エネルギーの一つです。発電時に化石燃料を燃焼させないという特長を持つ一方で、太陽光発電の環境価値をより高めるためには、発電時だけでなく、製造から使用、そして廃棄・リサイクルに至るまで、ライフサイクル全体で環境負荷を考えることが重要です。

例えば、製造工程で発生する廃棄物の削減、原材料の有効活用、使用済み製品の適切な回収・再資源化などは、持続可能な太陽光発電産業を支える重要なテーマです。

こうした背景のもと、太陽光発電ソリューションを展開するLONGi(隆基緑能)は、UL Solutionsによる第三者検証を経て、グループの4拠点で「UL 2799 埋立廃棄物ゼロ(Zero Waste to Landfill:ZWTL)」の最高ランクであるプラチナ認証を取得しました。

今回の成果は、製造現場における廃棄物管理の実績を示すとともに、太陽光発電産業における資源循環の重要性を考えるうえでも注目されます。

本記事では、認証の概要と評価基準、日本で進む使用済み太陽光パネルへの対応、そして持続可能なものづくりに求められる考え方について解説します。

1. LONGiの4拠点がUL 2799の最高ランク「プラチナ」を取得

2026年9月22日、同社グループの以下の4拠点が、UL Solutionsによる第三者検証を経て、UL 2799の「埋立廃棄物ゼロ・プラチナ」認証を取得しました。

  • 禄豊隆基硅材料有限公司

  • 楚雄隆基硅材料有限公司

  • 嘉興隆基光電科技有限公司

  • 隆基楽葉光伏科技(西咸新区)有限公司

今回の認証では、UL 2799の第4.0版に基づく検証において、対象となる4拠点が廃棄物の埋立転換率100%を達成しました。これは、評価対象の事業活動から発生する廃棄物について、埋立処分に回さないための管理と処理が行われていることを示すものです。

UL 2799では、廃棄物の発生量や処理方法、最終的な行き先などを確認し、定められた基準に基づいて廃棄物の転換率を評価します。単に廃棄物を減らしたと宣言するのではなく、実際の処理実績をデータや記録によって示すことが重要になります。

今回のプラチナ認証は、対象となる4拠点の廃棄物管理において、埋立転換率100%という成果が第三者によって検証されたことを意味します。

なお、この認証は対象拠点における廃棄物管理の実績を評価するものであり、LONGiの全拠点や、製品の製造から廃棄までのライフサイクル全体が廃棄物ゼロを達成したことを意味するものではありません。

2. UL 2799とは? 「埋立廃棄物ゼロ」を評価する第三者検証

UL 2799は、廃棄物の埋立転換や「埋立廃棄物ゼロ」に関する環境主張を評価するための基準です。企業や施設が発生させる廃棄物について、その処理方法や転換率を確認し、環境に関する取り組みを客観的に示すことを目的としています。

UL Solutionsが公表する主な認証ランクは、以下のとおりです。

認証ランク

廃棄物の埋立転換率

プラチナ(Platinum)

100%

ゴールド(Gold)

95~99%

シルバー(Silver)

90~94%

※ UL Solutionsの公表する認証区分に基づきます。実際の適用条件や算定方法は、対象となる規格・プログラムの要件に従います。

評価にあたっては、廃棄物の発生量を把握するだけでなく、リサイクルや再利用、エネルギー回収など、廃棄物がどのような経路で処理されたかを確認することが重要です。

また、UL Solutionsのプログラムでは、エネルギー回収を伴わない焼却は、埋立転換率の算定において認められません。エネルギー回収を含む処理についても、規定された条件に基づいて評価されます。

つまり、「埋立廃棄物ゼロ」は、廃棄物を単純に別の場所へ移すことではありません。処理方法や処理先を適切に管理し、資源の有効活用につながる仕組みを構築することが重要です。

第三者検証によって廃棄物管理の実績を客観的に示すことは、企業の環境情報に対する透明性を高め、顧客や取引先などのステークホルダーとの信頼関係を築くうえでも意義があります。

3. なぜ製造現場で「廃棄物ゼロ」を目指す必要があるのか

廃棄物の削減は、環境負荷の低減だけでなく、資源利用の効率化や製造工程の改善にもつながる取り組みです。

製造現場では、製品そのものだけでなく、原材料の加工に伴う端材、包装資材、使用済みの資材など、さまざまな廃棄物が発生する可能性があります。

これらを適切に分別し、再利用やリサイクルにつなげることで、埋立処分への依存を減らし、限りある資源をより有効に活用できます。

廃棄物管理を進めるうえでは、次のような取り組みが重要です。

① 廃棄物の発生そのものを減らす

製造工程や資材の使用方法を見直し、不要な廃棄物が発生しにくい仕組みを整えます。発生後の処理だけでなく、発生源から削減することが、資源効率の向上につながります。

② 再利用・リサイクルを促進する

廃棄物を種類ごとに分別し、再利用できるものや原材料として再生できるものを適切な処理ルートにつなげます。資源を再び利用できる状態にすることで、循環型の生産活動を支えます。

③ 廃棄物の流れを可視化する

発生量や処理方法、処理先などを継続的に記録することで、管理体制の改善につながります。データを活用すれば、廃棄物の発生原因や、より効率的な処理方法を検討することも可能になります。

こうした取り組みは、単に廃棄物を減らすだけでなく、製造現場における資源の使い方を見直し、持続可能な生産体制を構築するための基盤となります。

ただし、埋立処分を回避したことと、廃棄物が一切発生しないことは同じではありません。環境負荷をさらに低減するためには、埋立転換率だけでなく、廃棄物の総発生量やリサイクルの質なども含めて考える必要があります。

4. 日本で進む使用済み太陽光パネルの廃棄・リサイクル対策

太陽光発電の環境価値を考えるうえで、製造現場の廃棄物管理と並んで重要なのが、使用済み太陽光パネルの適正処理とリサイクルです。

日本では、2012年に固定価格買取制度(FIT制度)が導入されて以降、太陽光発電設備の導入が拡大しました。太陽光パネルの一般的な寿命は25~30年程度とされており、導入初期の設備が寿命を迎える時期に向けて、将来の大量排出への備えが求められています。

環境省は2024年8月、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」を公表しました。同ガイドラインでは、太陽光発電設備の適正なリユース、リサイクル、処分を確保するための考え方が整理されています。

また、経済産業省の資料でも、2030年代後半に太陽光パネルの廃棄がピークを迎えることが想定されており、計画的な対応の必要性が示されています。

さらに、2026年版の環境白書では、2030年代後半以降、使用済み太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万トン程度になる可能性が示されています。これは将来の推計であり、実際の排出量は設備の寿命や撤去時期などによって変動します。

大量排出への備えが必要なのは、単に廃棄物の量が増えるからだけではありません。使用済みパネルを適切に回収・処理できなければ、最終処分場の負担が増加するほか、資源を再利用する機会を失うことにもつながります。

5. 製造工程の廃棄物ゼロと、使用済み太陽光パネルのリサイクルは何が違う?

ここで押さえておきたいのは、製造拠点における「埋立廃棄物ゼロ」と、使用済み太陽光パネルの「リサイクル」は、関連する取り組みでありながら、対象も目的も異なるという点です。

比較項目

製造拠点の埋立廃棄物ゼロ

使用済み太陽光パネルのリサイクル

主な対象

製造・事業活動で発生する廃棄物

使用を終えた太陽光パネル

主な目的

埋立処分の回避、廃棄物管理の改善

適正処理、資源回収、最終処分量の削減

主な取り組み

発生抑制、分別、再利用、リサイクルなど

回収、分解、素材の選別、再資源化など

評価の視点

廃棄物の処理ルートと埋立転換率

回収率、再資源化率、処理の適正性など

使用済み太陽光パネルには、ガラスやアルミニウムなど、回収・再資源化が期待される素材が含まれています。一方、パネルの構造や使用されている材料、処理設備などによって、回収できる素材やリサイクルの方法は異なります。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)と国際エネルギー機関の太陽光発電システム研究協力プログラム(IEA PVPS)が2016年に公表した報告書では、使用済み太陽光パネルの寿命を約30年と想定し、2050年までに世界で累計約7,800万トンの原材料や有用な部材が回収可能になると推計しています。

これは将来の回収可能量に関する推計であり、実際に回収される量を示すものではありません。しかし、使用済みパネルが適切な回収・再資源化によって、新たな資源として活用される可能性を示しています。

製造段階での廃棄物削減と、使用済みパネルのリサイクル。その両方を進めることが、太陽光発電産業における資源循環を考えるうえで重要です。

6. UL Solutionsとは? 環境への取り組みを客観的に示す意義

今回の検証を実施したUL Solutionsは、安全性、セキュリティ、サステナビリティなどの分野で、試験・検査・認証サービスを提供するグローバル企業です。

ULの歴史は1894年に始まり、製品やシステムの安全性評価に長年取り組んできました。現在は、さまざまな産業分野で、製品の試験・検査・認証や環境に関する検証サービスなどを提供しています。

サステナビリティの分野では、企業が公表する環境に関する主張を、定められた基準と客観的なデータに基づいて評価することが重要です。

例えば、企業が廃棄物の埋立転換率を公表する場合、算定対象や処理方法が明確でなければ、取り組みの実態を正確に理解することは困難です。第三者検証は、こうした環境情報の信頼性や透明性を高めるための手段の一つとなります。

UL 2799においても、廃棄物の発生量、処理記録、転換率の計算根拠などが評価の重要な要素となります。

ただし、UL 2799のプラチナ認証は、対象施設における廃棄物管理の実績を評価するものです。太陽光パネルの発電性能やCO₂排出量、使用済みパネルのリサイクル率など、あらゆる環境性能を包括的に保証するものではありません。

認証の対象と評価基準を正しく理解することは、企業のサステナビリティへの取り組みを適切に評価するうえでも大切です。

UL Solutions認定証明書:ECVP_for_Zero_Waste_to_Landfill_Claim_Validation_463ba3e73a.pdf

7. LONGiが目指す、持続可能な太陽光発電産業へ

太陽光発電が世界的に普及するなか、製品の発電性能や技術革新に加え、製造工程における資源利用や廃棄物管理も、企業の環境対応を考えるうえで重要なテーマになっています。

LONGiは、太陽光発電関連の技術・製品を展開する企業として、今回、グループの4拠点でUL 2799のプラチナ認証を取得しました。この成果は、対象拠点における廃棄物の埋立転換率100%という実績が、第三者検証によって確認されたことを示しています。

今後、持続可能なものづくりをさらに進めるためには、埋立処分を回避するだけでなく、廃棄物の発生抑制、再利用、材料リサイクルの促進、処理ルートの適切な管理などを継続的に改善していくことが重要です。

また、製造工程の取り組みと並行して、使用済み太陽光パネルの回収・再資源化に向けた社会全体の仕組みづくりも求められます。

再生可能エネルギーの環境価値は、発電時の特長だけで決まるものではありません。製品がどのようにつくられ、資源がどのように利用され、使用後にどのように扱われるか。こうしたライフサイクル全体への配慮が、持続可能なエネルギー産業の発展を支えます。

LONGiは、太陽光発電の普及を支える技術とものづくりのあり方を考えるうえで、今回の取り組みを一つの節目とし、製造現場における環境管理と資源循環の重要性を発信していきます。

太陽光発電の普及を、より持続可能な社会の実現へ。そのためには、発電することだけでなく、資源を大切に使い、環境負荷を継続的に低減していく視点が欠かせません。