catch-img

農業と再エネを両立する―営農型太陽光発電のメリット・課題や補助金・事例を紹介

営農型太陽光発電とは?

― 農業と再エネを両立する「ソーラーシェアリング」という選択 ―

近年、農業の担い手不足や耕作放棄地の増加といった課題に加え、再生可能エネルギーの導入適地不足も大きなテーマとなっています。
こうした背景の中で注目されているのが 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング) です。

営農型太陽光発電とは、農地の上部に太陽光パネルを設置し、作物の栽培を続けながら発電も行う仕組みのこと。
「農業を続けながらエネルギーを生み出す」という、新しい土地活用モデルです。


なぜ今、営農型太陽光発電なのか?

農業は、天候や市場価格の変動によって収入が左右されやすい産業です。その結果、後継者不足や耕作放棄地の増加が全国的な課題となっています。

一方で、太陽光発電も大規模案件に適した用地が年々減少しており、新たな設置場所の確保が求められています。

この2つの課題を同時に解決できる可能性を持つのが、営農型太陽光発電です。

農林水産省「営農型太陽光発電について(令和6年11月)」によれば、2022年度までの農地一時転用許可実績は 5,351件、設備下部の農地面積は 1,209.3ha に達しています。
導入件数は年々増加しており、着実に普及が進んでいる分野と言えます。


営農型太陽光発電の主なメリット

① 耕作放棄地の有効活用

営農型太陽光発電は、これまで十分に活用されていなかった農地を再び収益化できる仕組みです。
農業収入+発電収入という二本柱により、土地の価値を高めることが可能です。

導入には農地法に基づく一時転用許可が必要ですが、条件を満たせば農振農用地(青地)でも設置できるケースがあります。

② 多様な作物に対応可能

営農型太陽光発電では、想像以上に幅広い作物が栽培されています。

特に半陰生植物や陰性植物は相性が良いとされ、パネル配置を工夫すれば陽生植物の栽培も可能です。

農林水産省農村振興局のデータでは、野菜類29%、観賞用植物36%、果樹13%など、多様な作物で活用されています。

③ 脱炭素への貢献

再生可能エネルギーを創出することで、CO₂排出削減に貢献できます。
地域のエネルギー自給率向上にも寄与し、農業と環境対策を同時に進められる点が大きな魅力です。

④ 農業経営の安定化

発電した電力は自家消費によるコスト削減や、余剰電力の売電収入として活用可能です。
収益が不安定になりがちな農業にとって、安定的な収入源を確保できることは経営面で大きなメリットとなります。


LONGiの海外事例:エネルギーと農業の共存モデル

営農型太陽光発電は、日本国内だけでなく、世界各地でも広がりを見せています。

LONGi(ロンジ)は、コロンビア・トリマ県のGuamo & Numbana太陽光発電所において、現地エネルギー企業Erco Energíaと連携し、営農型太陽光発電プロジェクトを推進しています。

このプロジェクトでは、約50頭の羊を発電所内で放牧し、太陽光モジュール下の草を自然に管理しています。除草機械の使用を減らし、環境負荷を抑えながら維持管理コストの低減も実現しています。さらに、地域の女性を雇用・育成し、放牧や家畜管理のトレーニングを提供するなど、社会的価値の創出にも取り組んでいます。再生可能エネルギー事業が、環境面だけでなく地域経済やコミュニティ支援にもつながる好例といえるでしょう。

営農型太陽光発電は単なる「土地の二重利用」ではなく、エネルギー・農業・地域社会を統合する新しいモデルへと進化しています。

Guamo & Numbana太陽光発電所の写真


2026年度の主な補助金制度

営農型太陽光発電は、国や自治体の補助制度の対象となるケースがあります。

■ 環境省

「地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業」

補助率:設備費の約1/2

対象:パネル、架台、PCS、蓄電池、EMS等

前提:農業との両立が条件

2026年度も継続実施が見込まれており、公募要領の確認が重要です。

■ 自治体独自の補助制度

市町村や都道府県レベルで独自の補助制度を設けている場合もあります。
補助率や条件、申請期間は自治体ごとに異なるため、設置予定地の公式情報を必ず確認する必要があります。


営農型太陽光発電導入の課題

営農型太陽光発電は将来性のある取り組みですが、

  • 初期投資が大きい
  • 農地法の許可が必要
  • 補助金は年度ごとの公募制

といった点を踏まえ、事前の収支シミュレーションと制度確認が重要です。


まとめ: 農業と再エネの未来をつなぐ

営農型太陽光発電は、
農地を守りながら、
収益を安定させ、
脱炭素社会へ貢献する
選択肢です。

国内外で広がる事例を参考にしながら、自社・地域に合った形での導入を検討してみてはいかがでしょうか。農業とエネルギーの新しい可能性を、共に創っていきましょう。